日本は「発声後進国」か?

日本は「発声後進国」か?

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クワイアディレクター / 発声教師の岩崎ひろきです。

時折よく聞く表現ですが、

「日本人の声って、平べったくて、響きがなくて、ダメね」

というセリフ。

いやいや、そんなことないのですよ。日本人は日本人で素晴らしい音声文化を持っているのです。

よく知っておいて欲しいのは「この声はダメ」という判断を下す時、その人には必ず何かしら「美的センス」が働いています。

声とは、「どんなモノサシで計るか」によって採点がなされがちなのです。

そりゃあ、西洋声楽をやっている人間からすれば、「日本人の声は薄っぺらい」になるかもしれません。

でも一方で、トゥバのホーメイをやっている人間からすれば、「日本人の声はダミ声成分が足りない」,,,とでもなるかもしれません。(ごめんなさい、大げさすぎますね、これはね)

つまり、当たり前のことですが、音楽ジャンルに沿った声があるわけです。西洋声楽の美的センスで、民謡の発声を語ることは、非常に難しいのです。

日本人の声がダメか?いいえ、美しいのです。

イタリア人の声が、ドイツ人の声がダメか?いいえ、美しいのです。

それぞれ素晴らしいのです。ここに優劣をつけることは誰にもできません。

私たちはお互いの音楽の違いを認めるどころか、もっともっと楽しむべきなのです。そうしてもう一度自分の大好きな音楽に立ち返り、「自分の大好きなこの音楽が一体何だったのか」を知ることができます。他を知り、初めて、自己を知ることができるのです。

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PS1:いろんな声のカラーがあって、いいじゃないですか。

PS2:日本人の音楽に対する姿勢に何か問題があるとすれば、自国の芸能を軽んじていることではないかと思います。私がするゴスペルのレッスンでも、「みんなが知っている日本の民謡」など、遊びで歌わせると、急激に、皆、喉を自由に使い始めます。「こんなのヤダ、恥ずかしい」なんてみんな笑って言うのですが、いやいやちょっと待ちなさい、今あなたたち別人のように歌が上手くなってるぞ、と私は言いたくなるのです。

仮声帯が寄ったノイズ発声、それから、裏声と地声を素早く交互に行き来するフリップ的メリスマ、「揺らし」系のメリスマ,,,,。こうやって書くと、「どうせ最初から上手い人でしょ」とでも言いたくなるでしょうが、いいえ、本当にアマチュアの主婦さんです。60歳〜70歳ぐらいの方でも、上手に喉を使い始めるのです。

「その喉の使い方でいいんだよ、僕らがもともとよくやっていた喉の使い方を認めてあげるんだよ」ここからスタートすると、面白いほど、声がスルスルと回復していくのです。どうか、私たちの声の使い方を認めてあげてください。そうやって喉の使い方を封じ込めると、どんどん歌がヘタっぴになっちゃいますよ!

PS3:「それでも日本人みたいな声、あまり他の国で聴かない気がする」なんて意見をもらったことがあります。では、民族音楽学者、小泉文夫の言説と録音をお借りして、お話します。小泉文夫が採録したエチオピアのコプト教の典礼音楽は、「日本の民謡か!?」と勘違いしてしまうようなメロディーと、そしてアジア的な声でした。それでもって合唱するものですから、もうこれは日本の「木遣り」そのものじゃないか、なんて私は思ったのでした。エチオピアの人も、日本の民謡をなんのストレスもなく「普通に聴けてしまう」のだそうですよ。

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