「50人の音楽家をアリゾナ解剖に連れて行きたい」音楽家専門のセラピスト、山本篤インタビュー

「50人の音楽家をアリゾナ解剖に連れて行きたい」

左:山本篤   右:岩崎ひろき

岩崎ひろきです。

2/24の「デスボイスと解剖学の世界」のトークショーでのゲスト、山本 篤先生と会って来ました。

山本先生は「音楽家専門のセラピスト(理学療法士)」として、日本全国を飛び回り、音楽家の身体のケア、そして指導をしてらっしゃいます。理学療法士は医療系国家資格で、いわゆる「リハビリの専門家」です。

また「音楽家が解剖学を学ぶことの大事さ」をモットーに、バイアスのない、そのままの人間の身体のつくりを日々セミナーなどで伝る活動も。

そんな山本先生に、今回は30分ほどインタビューさせてもらいました。

今年一月に行われたアリゾナでの人体解剖。参加した山本先生が、何を感じたのか。解剖への参加はもう4度目,,,。

一体どんな発見をしたのでしょうか。また、「歌い手/ 音楽家になぜ解剖学が必要なのか」についても語ってもらいました。

 

全国に広まる、「音楽家のための解剖学」

——自己紹介からお願いします。

山本:音楽家専門の理学療法士、山本篤です。兵庫を中心の拠点としているんですが、そのほかにも大阪、東京、名古屋、それから最近は仙台などでも働かせてもらっています。

——仙台でもやってるんですか?知りませんでした。

山本:うん!青森と、福島に理学療法士の子達がいて、彼らの希望で仙台でやり始めた。東北でも「音楽家にとっても解剖学が役に立つぞー」っていうことが広まり始めてるんです。

——へえ。理学療法士の人が音楽家のケアをするっていうのは、今まではあったことなんでしょうか。

山本:いや!少ない。

——少ない。そうですよねえ。山本先生以外で聞いたことがありません。

山本:普通はスポーツのためか、障害をお持ちの方のため。音楽家のため、というのは少ないね。でも東北にも出て来てるんだよ、「音楽家のために働きたい」っていう理学療法士が。

——それってもしや「山本 篤の遺伝子」ってやつですね?笑

山本:そうそうそう!笑 福島の子なんて、高校生の時に僕のブログを発見したんだって。

「こういう仕事があるんだ!」って言って。理学療法士を目指すきっかけになったみたい。で、今はもう立派に理学療法士になった。

——すごい!

山本:そうなのよ、本当にすごい。

——その方は音楽は何かやってらっしゃるんですか?

山本:うん!吹奏楽部出身やね。

——それってやっぱり、吹奏楽部時代に経験した「腹式呼吸」とかの意味がわからなくて、山本先生に興味を持ったんでしょうか。

山本:うん、そうだね。やっぱり定番の「お腹」とか、「筋トレ」とか。「科学的に何に役に立っているのか?」っていう疑問があったんだって。

——理学療法士っていう、身体のプロの立場になれば、そういう身体の悩みに科学的にアプローチをかけられますものね。

 

解剖学が、共通言語になる

——-山本先生の素晴らしいとこって「何かのメソッドの先生」なんじゃなくて、「医療従事者で、ありのままの解剖学を伝えてくれる人」だっていうところだと思うんです。

山本:それは確かに強みかも。そうやねえ、何かのメソッドって、どこかに偏ってしまうからね。いや、それもいいんだけども。

——偏っているからこそ、メソッドの個性が出ますものね。

山本:そうそう。

——ただ、メソッドに惚れ込んじゃう人も出て来てしまう。過信しちゃうというか。

山本:そうするともう科学じゃなくなっちゃうからね。それは残念。

——そこで山本先生の出番ですね。いろんなメソッドがあって、そこの真ん中に「ピュアな解剖学」を知った山本先生がいてくれる。だから違うメソッドの人たちが、山本先生を通して、対話が可能になる。

山本:そうやね。そこを目指してる。それぞれ「ええところ」がある。でも、偏ってしまったらもったいない。どんなメソッドも「身体のこと」を扱ってるから、共通のテーマをもっている。

だから対話が可能なはず。解剖学をみんな学べば、「共通の言語」ができるでしょう。解剖学っていう知識と、僕自身も「ハブ」になれればええなあって思う。音楽家と、理学療法士も、みんな対話可能なんだよね。

 

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