前回の記事、twitterでたくさん見ていただいたようです。嬉しい、ありがとうございます。
※声区に関して、いろんな方がいろんな見解を持っています。否定するつもりもないので、「へー岩崎が一番納得する考えはこれなんだ」という程度でお読みください。レッスンを受けている方ためにも書いています。受講生の方はぜひ熟読していただきたいところ。
ですが、2種類では太刀打ちできない状況があリます。それは女性の場合です。結論から書きますと、女性の場合、声区が3種あるような状態になっていることが多く、一度3声区として指導をすると、本人もトレーニングを受け入れやすくなります。
「あるような状態」と書いたのは、実際のところはあくまで2声区だからです。地声と裏声、頭声区(とうせいく)と胸声区(きょうせいく)、それのみです。ですが、普段の生活において、女性の場合、そもそも「胸声区(きょうせいく)」でしっかり話すことが、社会的にあまり良しとされません。ですから、胸声区(きょうせいく)の時よりも、やや声帯と軽めに扱い、頭声区(とうせいく)と連結しやすい発声パターンで話していることがほとんどです。
つまり、女性は、生活をしているだけで中声区のようなものが鍛えられてしまう、ということです。多くの女性が、ブレイクが2回も3回も起きたりします。それだけ、女性の声区の状態というのは、難解な状態になっていることが多いのです。(男性は胸声区(きょうせいく)、頭声区(とうせいく)できっぱり分かれていることがほとんどです)
ですから、彼女たちに「声、3つない?」と話すと、「わかるかも,,,!」と返事をしてくれることが多いのです。「裏声でも地声でもない声」が、自分の微調整云々によって生まれるのではなくて、確かに「在る」。これは実際のところ、声区が混乱を起こしているとも言えるのですが、中声区のようなものが生まれている以上はその声を抹殺する必要はないと考えます。混乱している状況を逆手にとって、提案するのです。「仮想中声区」という言葉で。
「実際には存在しないけれど、まるで中声区が、胸声区と頭声区と同じように存在しているみたいだね、それ仮想中声区として名付けてみようか」
そうして、声の整理が、彼女たちの脳と喉で始まっていきます。ここからはトレーニングはシンプルになっていきます。各声区を太らせたり、分離させたり、融合させたり、です。
「仮想中声区」の定義をここに記してみましょう。あくまで女性のものです。
仮想中声区…
C5以降において、母音を広げると、聴覚的には「地声のような響き」を持ちやすい。リスナーには「ベルティングだ」と騙しうる音色になる。そのまま上昇し、E5以降はレーニングされていないと、崩壊しつつ頭声区に以降しやすい。A4より下の音域では、本人たちの体感としては「ただの裏声」のように感じられる。また、胸声区にももちろん連結がしやすい。