「なぜボイストレーナーによって言うことが違うのか」
ある時、生徒にこんなことを言われました。
「前の先生には【喉には特別な力を入れなくていい。呼吸だけで大抵のことは解決する】と言われたことがあります。でも、岩崎先生は喉をあれこれとコントロールした方がいいって言いますよね」
これはボイトレ界ナンバーワンの「あるある」です。「ボイストレーナーによって言うことが違う」,,,。これによって多くの初学者が頭を悩ませていることだろうと思います。さて、これは一体なぜ起きることなのでしょうか。
インチキボイストレーナーはだれ?
こういう話になると、必ず飛び出す言説はこれです。
「ボイストレーナーには資格が要らないから、いい加減なことを言う人もいるのよ」
と。これは確かに半分は本当です。「ボイストレーナーには資格が要らない」。民間資格はありますが、国家資格などはありません。公的機関が認めたテストなどは存在しないのです。ですから、あなたも「私はボイストレーナーだ」と名乗り、指導を始めてしまえば、それでボイストレーナーなのです。腕前は一切関係なし。とかく名乗るか名乗らないか、それだけの世界です。
それゆえ、もしかしたら、「腕前がイマイチなボイストレーナー」もいるかもしれません。まだあんまり指導経験がない駆け出しの方も大勢いるでしょう。そういうトレーナーのことを「インチキボイストレーナー」だと仰る方もいるかもしれせんね。
でも、最近はこれに対して懐疑的に思うようになってきました。だって、いつになっても、何人教えても、ベテラン同士で話し合いをしても、意見が完全に一致することなどないからです。
ベテランボイストレーナーでも意見が分かれる
初学者の方は驚くかもしれません。
「えっ!ベテラン同士のボイストレーナーでも意見が分かれるの?」
と。
はい、分かれます。一つの声を聞いて、意見を出し合えば、「その場ですぐ改善できるものか否か」「最初に出す練習は何か」「そもそも原因はどこか」。全ての段階において意見が分かれうるものです。(だからこそ面白いのですが)
ここで、問いの文句を少し変えてみましょう。「ベテランボイストレーナー同士でも意見が分かれるのはなんでなのか」。です。どうやら「誰かがインチキを言っているから」ではなさそう。(それも100パーセントないと言えませんが、それでも無意味な指導はこの世にはないと思っています)これには次回の記事で答えていきましょう。