ボイトレに興味を持ったばかりのあなたへ「先生によって言うことが違うのは、その人が何にシビれたかの問題」
「なぜ、先生によって言うことが違うのか」
ボイトレ初学者によっては大きな問題です。だって、混乱してしまうじゃないですか!
「前の先生は頭に声を響かせろと言っていたのに。その前の先生は頭には声は響かないと言っていて。その前の人はミックスボイスを覚えろって。でも今の先生はミックスボイスは喉を痛めるって,,,」
こんなことがあり得るのがボイトレ世界の常識。自分で書いてるだけでも目眩がしてきそうです。
これに対して、「誰かがインチキを言っている説」もあります。ですが、前回書いた通り、どうやらそれが主たる原因と断定することはできなさそうです。だって、結局、「ベテランの先生でも意見が違う」のですから。
じゃあなぜか。これは、
「その先生が、どんなトレーニングで声を変えてきたか」
ということによるのです。
ミックスボイスで成功した先生はミックスボイスの虜
ミックスボイストレーニングで成功した先生は、ミックスボイストレーニングを推奨します。
頭に響かせる、胸に響かせるなどの(発声配置指導と言います)指導で成功した先生は、そういった指導を推奨します。
腹式呼吸を,,,以下同文。
そう、シンプルなことなのです。それはそのはずで、「自分がうまくいかなかったトレーニング」を生徒に推奨する人はごく稀で、ここが難しいところなのです。(そこに指導方法の穴が見つかるかもしれない、と思いつつそれはまた別の機会に書きましょう)
もしかしたら、自分には効果がないトレーニングでも、生徒に実験的に試すことができたなら、より優れたトレーナーと言えるかもしれません。が、なかなかそこまでの純粋な領域まで到達することは本当に難しいことでしょう。そこを目指すべき、とは思いますが。
ですから、学習者のあなたはこう考えると良いかもしれません。先生の指導を見て、「今、この先生は、このトレーニングにシビれているのだな」と。そのくらいでいいのです。そして、それに「ノっておく」ことをおすすめします。
ボイトレは出会い
そう考えると、もしかしたら。もしかしたら、あなたのボイトレ、うまくいかないかもしれません。
ですが、100発100中で生徒の声を改善できるトレーナーなど、存在しないのです。どんなに優秀なトレーナーでも、救えなかった生徒、の苦い経験があるものです。
そう思えば、ボイストレーニングはある種、「出会い」。出会いを大事に,,,なんて書くと変な結論になってしまいそうなのですが、僕の一番言いたいところは正直言ってそこにあります。
どの先生も旅をするように、自分の声と、メソッドと向き合ってきたはずです。その中で多くの出会いがあったはずです。それは先生の血肉そのもの。思考そのもの。
ボイトレをする、とはそのエッセンスがあなたに流れていくということなのです。だから、ボイトレは出会いだとも、言えるのです。