今回は、「メソッド」というものの意義についてお話ししましょう。きっとみなさん、「素晴らしいボイトレメソッド」を探していることだと思います。そりゃあそうですね!「きっと私がまだ出会ったことがないボイトレがあるはず」そう思いますよね。
ボイストレーニングで実際に高い声を出せるようになった人に会えば、きっとそう思うはず。「ああ、この人はきっとすごいボイトレメソッドを知ってるんだろうなあ、いい先生を知ってるんだろうなあ」と。
でも、ボイトレメソッドを実際に試す前に、知っておいて欲しいことがあるのです。そうでないと、「素晴らしいメソッド」に出会ったとしても、いい結果を生まないかもしれないから。
「メソッド」の前に本当は知らなければいけない知識がある
まず知ってください。「メソッド」は何かの科学的なデータを、検証を、まとめあげたものです。まとめあげたことによって、後陣が学ぶことができ、多くの人がそのメソッドによって救われるわけです。だから素晴らしいものです!
優れたボイトレメソッドによって、多くの人が声を磨くことができるのです。
けれど、注意しなければいけないことがあります。
メソッドの前に、まず「学問」があるのです。例えば、運動学、音声学、音響学、生理学、解剖学,,,。
ボイストレーニングはあらゆる学問から分析しなければならない非常に難しいトレーニング分野です。
学問によって生まれた答えを拝借して、今日のメソッドが成り立っています。学術的研究がまず先にあって、メソッドが生まれるのです。学術的研究の、「まとめ」な訳です。
けれど、実際にメソッドに出会った時、あなたはきっと、先に挙げた学問をまだ勉強していないはずです。「運動学、音声学、音響学、生理学、解剖学」,,,一冊でも本を買って読んでみるといいでしょう、分厚い本が家に届いてヒいてしまうかも。
それもそのはず、だって学問て、研究者が一生を捧げることができるくらいの大きな問いなのですから。
だから、メソッドを前にして、「ああこれはこういう学術研究を基にして、理論展開をしているんだな」「ん?これは運動学的に考えたらおかしくないかな?」と、十分な理解も、また疑念を持つこともできません。これが少し危険なことはわかりますよね。
そして、疑念を持つことはもしかしたら、メソッドを教える先生にとっては少し厄介なことかもしれません。
けれど、学習者としては当然の権利なはずなのです。
声のトレーニング、学習において最も大事なことは、最終的には「自走」できるようになることですから。自分で論理立て、推敲できるようになることが何よりも大事なことです。
まずは認識するだけでOK
とは言いつつ、「声を学びたいんだね?じゃあまずこのテキストを理解していきましょう、まずは喉の解剖学から」と言うわけにもいきません。まあ、嫌ですよね、そんなレッスン。笑 まあマニア受けはしそうですが,,,。一般にはちょっと厳しいでしょう。
なので、「メソッドの前に、本当は学問があって、メソッドはそれを抽出したものなのだな」くらいな認識が一つあれば良いでしょう。
また、「これはなぜですか」と疑問を深めたときに、質問に付き合ってくれる先生を選ぶと良いかもしれませんね。そして、最終的には自走できるようにしてくれる人。これはとても大事なポイントです。