生徒さんに頬骨 / 蝶形骨あたりを優しく触らせてもらっていますが、改めて、振動の大きさに個体差があるものです。
頭部の「共鳴」に関しては否定的な意見が多いものですが、ですが、「振動」は確かにあるものです。論文も多く見つかります。
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頭部の振動は「発声関与筋の振動が伝わっているのではないか」と考えられます。これは私の意見です。
例えば咽頭収縮筋。咽頭収縮筋の上部は蝶形骨に付着します。咽頭収縮筋は直接的に音の鳴りを作る筋肉です。これが頭部の骨に付着しているのですから。頭部の振動は発声関与筋によって作られるというのは容易に想像がつきます。
このことは、「頭部の振動現象はあくまで喉の結果」となりがちですが、決してそうとは言い切れません。頭部を取り巻くあらゆる組織をリリースすると、歌手が頭部の振動がより強くなるのを実感し、また音声にも変化が感じられるケースがあまりに多いからです。つまり逆に取れることがある。「喉は頭部の振動現象の結果」と言えてしまいそうな現象が多くあるということです。
これもシナジー、相互作用なのでしょう。振動感覚だけを頼りに歌っていた人は喉への直接的なアプローチで変化を感じますし。喉への直接的なアプローチばかりしていた人は振動感覚からのアプローチで変化を感じます。
また、こういったプレイスメント感覚は「喉の中身を想像しなくてはいけない」という呪縛も開放してくれます。過去のメソッドひとつひとつが大きな可能性を持っているものです。