全体から部分へ、Three Vector Tensegrity Model

この3点方向を持った喉のデザイン、やはりかなり確信があります。何よりも大事なのは、こうした見た目が美しいことです。美しくないものが人体に組み込まれているはずがないからです。そして、現象と理論の一致の多さ。あまりに多くて、これで良かったのではないかと思います。

特に「左上」のベクトルは、扱いが難しいと思っています。そして多くのボイストレーニングではそこは「除去」されてきた傾向があるのではないかと今回想しています。実際、そのベクトルを喉の中に組み込もうとすると、「関係のない筋肉」が動いてきます。それは最悪、故障につながりうるとさえ感じられました。事実、これまで、「左上のベクトルが抜けない」生徒を多く見てきました。過去にレッスンをさせていただいた、痙攣性発声障害を起こしていた方でも見受けられた症状です。

ですが、優れた地声系歌手の喉を見れば、このベクトルが使われていることは間違いないのです。ですから、やはりバランス。三方向のベクトルを偏らせすぎないこと。これが大事だと考えています。

さて、この3点ベクトルですが、かなりざっくりしています。笑

当たり前ですが、喉の筋肉は3種類ではありません。本当はもっともっと複雑です。

これも僕が書いたスケッチですが、筋を増やしていけば、どんどんと複雑なスケッチが出来上がっていきます。これらは実際にもコントロールはある程度、可能です。ですが、ここ最近は、3つのベクトルなど、割とざっくりと捉えることに美学を感じています。

部分から人体構造の全てを捉えることは不可能です。だって、まだ科学が人体の神秘に追いついていないのですから。だから、抽象性を持ってトレーニングをしていくことは、必要です。全体を捉え、その後、部分に行くのが健全な考えと言っていいでしょう。全体を捉え、そこから溢れたものを、部分的なトレーニングとしてカバーしていく。これがいいのでしょう。

 

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